日本は差別国家なのか!?
2024/09/17
「ワタシタチハニンゲンダ」―以前から気になっていた映画だ。映画の紹介には、「全ての在日外国人に対する差別政策の全貌を映したもの」とあり、一度は見ておかなくてはと思った。
7月17日、新宿区内の四谷区民ホールで、「ワタシタチハニンゲンダ」の映画鑑賞会と合わせて、人権と差別問題を中心に取材活動を行っている安田浩一氏の講演が開催された。
約2時間にわたる映画の中では、実習先の職員から暴行・暴言を受ける技能実習生や、複数の入管職員に手足を抑えられ、身動きが取れなくなっている被収容者の姿などが映しだされた。名古屋入管でスリランカ人女性のウィシュマさんが亡くなったことについても触れられていた。入管では被収容者の死亡事故が今なお発生している。このような現状を知り、日本各地で被害を受けた外国人に対する支援の輪が広がっている。
上映後の講演で、安田氏は、日本国内での劣悪な外国人労働者の実態について解説した。安田氏は、ある実習生から「私たち人間じゃないみたいでしょ」と言われ思わず言葉を失ったという。今や都内のコンビニや居酒屋などの身近な生活圏で、もはや外国人店員を見ない日はない。こうした外国人労働者に日々の生活を支えられているのが今の日本の社会の実態である。安田氏は、メイド・イン・ジャパンの国産製品も結局は国内の外国人労働者が製造した物ばかりだと説く。もはや外国人労働者の存在なくして、日本社会は成り立たないということだ。
講演会に参加して、幼少期の頃に聞いた言葉を思い出した。「あそこは部落だから」、「あそこの家は在日だよ」―近所に住む大人たちから聞こえてきた言葉だ。当時はその言葉の意味を理解せずにいたが、なんとなく、嫌な雰囲気を感じた。大学生の頃には、「朝鮮人は日本から出ていけ」、「外国人は危険」などと声をあげながらヘイトデモを行う団体まで世の中に出てきた。次第に、YOUTUBEなどインターネット上で、こういったヘイトデモが拡散されるようになった。近頃では、若年層に人気のあるYoutuberなどが、部落地域として有名な場所を訪問し、おもしろおかしく動画を上げている姿も目につく。差別は私たちの身近なところに間違いなく存在する。SNSなどが発達した現在は、差別を目にする機会が以前よりも増しているように思う。
「差別の向こう側に虐殺と戦争が待っている」。安田氏は講演をそう締めくくった。差別は差別するだけで終わらない。差別は人としての尊厳を奪うものだ。「差別を許さない、誰も殺さない、殺させない」―そんな社会を作っていくために、私たちの意識を変えていく必要がある、そう感じた。